金烏玉兎(きんうぎょくと)


月日のことをのんびりと
by 木ねずみ
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

ひらがなのやさしさ

先日、PTAでお昼に娘の学校にいると
お昼の校内放送がかかって
「正しい日本語を使いましょう」というものだったのですが、
「先生、トイレ」
「先生、見えない」
こんな風に言っていませんか?
先生は、トイレではありません。。
先生は、透明人間でもありません。。
と、
真面目に語りかけていて
かなり面白かったのですが、
普段、私も
「あっ!私、ハンバーグ!」
「私、スバゲッティー」
「あなたは?」
なんてしょっちゅう言っているし、
I am hamburg っていう意味ではない事くらい
誰でも分かってくれるはずです。。
こう考えると、
日本語というのは、その場の雰囲気を読みとって、
言葉と言葉の狭間の
見えない言葉たちを理解する必要があるんだな・・・と
改めて思いました。。
そして、漢字とひらがなの微妙な使い分け。
「私」と「わたし」ではニュアンスが違います。。
それを理解できるのは、日本人だけかもしれません。

閑話休題
短歌からは、しばらく遠ざかってしまっているのですが、
久しぶりに歌集を読み返しました。。
笹井宏之「えーえんとくちから」
      「ひとさらい」
26歳で亡くなった、夭折の歌人が残した歌集で、
折にふれて、開く歌集です。。
言葉が、「ことば」というひらがなになって
優しく響いてきます。。。
ひらがなの歌人と言えるかもしれません。
笹井さんは、自分以外のあらゆる物が
毒になって、自分の身体を痛めつけてしまうという
難しい病に掛かっていて、
ほとんど外出する事もなく
家で少しずつ短歌を作っていたようです。。
そういう人にとって
インターネットというのは、とても役に立つ道具だったようで
ネットを通じて世界を広げていったようです。

・葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある

・ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒

・「はなびら」と点字をなぞる、ああ、これは桜の可能性が大きい

この三首が最初とても心に残りました。。
とても上手だと思います。。

・えーえんとくちからえーえんとくちから、永遠解く力を下さい。

・ゆるせないタイプは<なわばしご>だと分かっている でてこい、なわばしご

・拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません

・この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい

・美術史をかじったことで青年の味覚におこるやさしい変化

ちょっと不思議な世界に住んでいたのだな・・・と思います。。

最初の3首と後の5首では、ちょっと雰囲気が違うのですが、
言葉を使い分けていたのだと思います。。
でも、どの作品も「やさしい」というひらがながぴったりな雰囲気があります。。
「えーえんとくちから」の巻末に
無題の詩が載っています。。

・・・・・・・・
きれいごとのはんぶんくらいが

そっくりそのまま
しんじつであるといい

とひらがなで書いてあって、
綺麗事でなく「きれいごと」
半分ではなくて「はんぶん」
真実ではなくて「しんじつ」
という書き方に、歌人の人柄が
表れているな・・・と感じます。。
ふわふわとした
やわらかい感性を
つぶさないように、つぶされないように
必死に生きたのだろうな・・・・と
ちょっと切ないです。。

命を削りながら
作品を書いたのでしょう。。
a0159795_17223391.jpg

ひらがなのやさしさを感じる歌集です。
by choco-co-co | 2013-10-17 06:00 | 読書日記

ネコのパラソル

娘の国語の問題に
ちょっと目を惹く文章がありました。

夜中にぼくが目を覚ますと、飼い猫のパラソルが
パパのあい用のふうとうに
たぶん台所からくすねたであろうニボシをおしこんで
ふうをしているところだった・・・
というような内容で、
出典を見ると
舟崎克彦 作 / 「もしもしウサギです」より「ネコのパラソル」
とあったので、興味を持って
早速図書館で検索してみました。。
a0159795_23573822.jpg

舟崎克彦さんのお名前は知っていたのですが、
作品を読むのは初めてでした。。
「もしもしウサギです」には
表題作の
「もしもしウサギです」の他
「なんでも電話」
「王さまだらけ」
「ネコのパラソル」
「ジタバタのたんじょうび」
短編5編が入っていました。

「もしもしウサギです」は、作者のお子さんが
公園で遊んでいて雨にふりこめられ、
やむなく電話ボックスで雨宿りしたというエピソードから発想した
物語なのだそうです。
電話ボックスで雨宿りした「ぼく」にウサギから電話が掛かってきて
不思議の国のアリスのような、ちょっとした冒険をする物語です。。
「なんでも電話」も、留守番している子供のところに
電話が掛かってくるところから、物語が始まります。。。
「王さまだらけ」は、王さましか住んでいない国で
誰が本当の王様か、競い合っているお話。
「ネコのパラソル」は、「ぼく」の飼っているネコの本当の姿を
パパもママも全然知らなくて、僕だけが知っているというお話です。
夜な夜なパラソルが人間のような行動をとって
僕はびっくりして、おもらししたり、おねしょしたりしてしまいます。。
「ジタバタのたんじょうび」は、寝床にしていた樅の木を
切り倒されてしまったジタバタという栗鼠が、その木と一緒に
冒険するお話。
結局、今まで住んでいた森に帰ってきたジタバタは、
樅の木の切り株から、芽が出ているのを見つけます。。
「・・・・・木はまた春がくれば、さいしょからやりなおしてくれるんだ」
という文が印象的でした。。。

二年生の娘にちょうど良いお話しだな・・・と思ったのですが、
娘は、一緒に借りてきた「怪談レストラン」の方がお好みだったようで・・(笑)
確かに怪談レストランも面白いからね~。。
何でもいい、ちょっとは本を読んでおくれ~(笑)

大人にも
プチフールのように読める物語だと思います。。。
a0159795_23582380.jpg

by choco-co-co | 2010-11-23 23:04 | 読書日記

天使で大地はいっぱいだ

6日の日のニュースで
児童文学作家の後藤竜二さんが、お亡くなりになったと知りました。
小学校6年生の時、「天使で大地はいっぱいだ」を読んだ記憶があります。
あまり好きな雰囲気の物語ではなくて、どちらかというと、
当時は、不快感すら覚えた物語だったかと思います。
なので30年経った今もよく覚えているのです。
サブという、小6の少年が主人公で、
彼の一年間の出来事が、話し言葉で語られています。

印象的だったのは、サブの家族が、
川に飛び込んで自殺未遂した青年を助けるエピソードで、
生々しい表現にショックを覚えました。
そして、当時腑に落ちなかったのは、
その青年がサブの家にしばらく居着くのですが、サブの家族は
ほとんど彼の世話を焼かないし、
青年も家族に深く関わろうとしないことでした。
そしてある日、
青年は、お礼の言葉もそこそこにその家から出て行ってしまいます。
やがて春になって、
青年から切手も貼っていない便りがサブたち家族のもとに届きます。
どうやら元気に暮らしているようでした。。。
この便りを見て、確かサブの父親が、
「元気だったらそれでいい。。」というような事を言うのです。
12才の私は、この青年の何とも無礼な行為が理解出来なかったし、
サブたち家族の、このさらりとした対応も不可解でした。。
これでは、何の繋がりもないではないか。。
人と人とのつながりってこんなものなのだろうか。。。
何とも訝しい気持がしたのです。。。

あれから30年が経って、今思い出すと、
サブの家族がどれだけ優しい人たちだったかと思います。
「元気ならそれでいい」と言えるサブのお父さんは素晴らしいと思うし、
切手を貼らずに便りをよこす青年の、不器用な生き方も理解出来ます。。
題名にある「天使」。
12才の私が思い描いた天使は、明るく華やいだものだったに違いなく、
でも本当の天使は、さりげない優しさを持つ、
誰かの隣りにいる存在に違いない、と今は思います。。
この作品は、今読んでもきっと、
色褪せない主人公たちが生き生きと大地を飛び回っているのではないかと思います。

(携帯から投稿したのですが、
あまりに文章が酷かったので、多少直しました。。。)
by choco-co-co | 2010-07-06 08:24 | 読書日記

新聞雑記

我が家は新聞をとっていません。。
シンガポールに行く前は
日経新聞をとっていたのですが、
日本に帰国してから、今までとらないで
生活しています。。
特に不便は感じないのですが、
実は私は、新聞を読むのが好きだったりするので
実家に帰ったりすると
つい読みふけってしまいます。。。

今日の夜から、実家に来ているのですが、
早速読んだ夕刊では、
「しがらみ」という言葉の語源について書かれたコラムや
(「しがらみ」とは、伊勢神宮の内宮の入り口にある、
五十鈴川にかかる、治橋の脇に打たれた
何本もの杭のことをさしているのだそうです。
上流から大木や雑木が流れてきた時に、
杭にまつわりつかせて直撃を回避させる装置のことで
「柵」と書くようです。
そこから転じて、まとわりついて束縛するものを
「しがらみ」というようになったそうです。。へ~知らなかった!)
最年少で芥川賞を受賞した綿矢りささんが
自分が最年少で受賞した時、「私も頑張らなくてはなりません」と
謙遜したり、逆に「あなたの小説はその価値がない」と言ったりする
大人は沢山いたけれど
「これから、精進しなさい」という大人が少なかった、ということを書いた文章、
志賀直哉作「清兵衛と瓢箪」の評論など
面白く読みました。。。
映画の紹介のコーナーでは
「あの夏の子供たち」という映画を紹介していて
ちょっと観てみたくなりました。。。

昔は、よく新聞をスクラップしていました。
実際、新聞の小さな記事から
永井龍男のようにインスピレーションを得て、
「青梅雨」や「コチャバンバ行き」を書いた小説家もいて、
多分スクラップしていたのでは、と思います。。

そういえば、今日、iPad が発売になって
テレビで紹介されていて、凄いな~と見ていたのですが、
私は、紙が好きなせいか
ページをめくるシュミレーションを
例え画面上で出来たとしても
何となく、物足りないように感じてしまいました。
好きなページの端を折ったり
赤線を引いたり、ということが出来ない事が、物足りないのです。。
「ふたりのベロニカ」という映画で
主人公のベロニカが
ある童話作家の作品を夢中になって読んでいるシーンがあるのですが、
彼女は、フ~とそっと息を吹きかけて
ページをめくります。。
一瞬ではあるのですが、素敵なシーンでした。。
そういう楽しみを
電子書籍でも見つけることができれば良いのですが・・。

さて、
新聞記事で、スクラップし忘れて
でも、凄く印象に残っている記事があります。
確か中国で、100年以上生きた猿が
「自分は長生きしすぎたから、もう死ぬことにする」と
人間に告げて、首を吊って亡くなった・・という記事。

もう何年も前に見かけたので、
記憶が私の中で操作されているかもしれないのですが、
たった数行の記事だったのですが、
凄くインパクトがあった記事です。。。
by choco-co-co | 2010-05-28 06:58 | 読書日記

火の魚

先日、NHKのドラマ「火の魚」を観て面白かったので、
室生犀星の原作「火の魚」も読んで見ました。

ドラマと原作では微妙に物語が違うのですが、
どちらも偏屈な老齢作家と女性編集者の心の交流を描いています。
原作に女性編集者が人形劇を披露する場面があるのですが、
ドラマで、とても素敵なシーンになっていました。

ドラマは、死を意識しているように思います。
原作では、金魚の魚拓を頼まれて困惑する女性編集者の心境が
細やかに描かれていました。
この辺りの描き方を、ドラマでは直接的に、死に結び付けているのですが、
原作では、女性編集者の哀しい性ともいうべき
複雑な心理が描かれていました。。。
原作もドラマも、女性編集者には秘密があって、
それを知らぬとはいえ、老作家は彼女を傷つけるような言葉を吐きます。
ドラマでは、作家はそれをとても後悔し、花束を抱えて彼女に会いに行きます。
そしていたたまれない気持ちを吐き出すように
最後、叫ぶのですが、
それが「がんばれよ~」のような励ましの言葉ではなくて
「タバコ吸いて~」なのが良かったです。
物語に暗い影を落とすことなく終わりました。。。
原作の方は、金魚の魚拓がとても上手くとれた事に満足した老作家が
しみじみと、彼女に頼んで良かった、と思って終わります。

原作とドラマ、どちらが好きかと問われたら
私は、「原作」と答えるかもしれないのですが、
ドラマにも独特の良さがあります。

ところで、室生犀星は、今まで詩しか知らなかったのですが
(私の母校の校歌は、室生犀星作詞でした。。)
今回初めて小説を読んでみて
とても驚きました!
同時収録されている「蜜のあわれ」は、
なんと金魚が自分の事を「あたい」と言うかと思ったら
老作家と会話を交わし
街に買い物に出掛けて行くのです!
金魚が、何とも艶めかしい女性として描かれています。。
だけど、あくまで金魚なのです。。。

実は、その昔
金魚を大切に育てている「奥さん」に
金魚が話しかける、という童話を書いた事があります。。
その頃は、勿論「蜜のあわれ」は知らなかったのですが、
何年も前に、すでに金魚を外出までさせていた小説家がいたなんて!
何だか感慨深いものがありました(笑)
a0159795_20191881.jpg

金魚の魚拓は、「蜜のあわれ」の装丁用に
用いられたのだそうです。。。
by choco-co-co | 2010-05-11 17:41 | 読書日記

クローディアの秘密

昨日、別の本の読書日記を書いたのですが
何だか上手く書けなくて、
書いたり消したりを繰り返してしまったので、
また別の機会に紹介したいと思います。。。

今日はE.L.カニングスバーグ著「クローディアの秘密」を。

しっかり者のクローディアが
一番上のお姉さんということで
毎日感じている不公平さ(笑)に疑問を感じて
メトロポリタン美術館に家出する話。
2番目の金銭的にしっかりしている弟を
お供に連れて行きます。。。
バイオリンのケースとトランペットのケースに
替えの下着を詰めて、
ある朝、学校に行くふりをして
メトロポリタン美術館にもぐりこむのです。。。

10年以上前になるのですが、
ニューヨークに行った時に
メトロポリタン美術館に行った事があるので、
物語を読みながら
ああ、あそこに隠れたのだな、とか
あそこで水浴びしたのだな。。とか
とても楽しめました。
私も朝から閉館時間まで美術館にいました。
それでも見終わらない程の広さに
驚いたものです。
NY滞在中には
他にも、自然史博物館に行って、
とても楽しかった記憶があります。
後に、
「ナイト・ミュージアム」という映画が公開されて
娘と、とても楽しく観ました。
確かに動物のはく製やら蝋人形が沢山展示してあって、
夜になったら動き回るように感じるのです!(笑)

さて、
「家出」という秘密を
クローディアから話してもらった
大金持ちだけれど、孤独な老嬢と
所蔵品である天使の像の「秘密」を手に入れた
クローディアは、
またいつもの日常に戻っていくのですが、
心の中に「秘密」を隠し持つことで
人生が少し楽しくなるのです。。。

訳者があとがきで書いているのですが、
E.L.カニングスバーグが、
このお話を書くきっかけになったのは、
子供達と公園にピクニックに行った時
暑い日差しの中で、べとべとに溶けてしまったカップケーキや
それを目当てに蟻が這い上がってくるのに
不平不満をいう子供たちが
普段、「冒険に行く!」とか「家出する!」なんて勇ましい事を言うけれど
一体どこに行けるのだろうか。
野宿はとても出来なさそうだし、
自分の家よりもエレガントな所といったら
美術館しかないのでは、と思ったのが
そもそもの始まりだったようです。
そして、メトロポリタン美術館が
225㌦で、中世作家の彫刻の掘り出し物を手に入れた・・・という
小さな新聞記事を見つけて
美術館に家出する女の子の物語に結びつけ、
綿密に調査し、物語の進行上
どんな小さい矛盾もないまでに練り上げたのだそうです。
だから、虚構の話ではあるのですが、
活き活きとしているのだと思います。

もし、幼い頃に私がこの物語を読んだら、
恐らく、天使の秘密を見つけた!と喜んだ
クローディアと共に喜びを分かち合い、
クローディアと共に、
バジル・E・フランクウェイラー夫人から貰った、
天使の秘密を分かち合ったかと思います。
そういう魅力が、この物語の中にはあります。。。

原題は"From the Mixed-up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler"
「バジル・E・フランクウェイラー夫人の埋もれた書類から」
なのですが、邦題は「クローディアの秘密」となっています。
訳者がそうしたのでしょうか。。
すっきりとしていて、魅力的なタイトルだと思います。
この物語のキーワードは「秘密」。
楽しい「秘密」は
生きるエキスになるなあ・・と思います。

いつか娘にも読んで欲しい本です。
映画化されているようなので
それも観てみたいです。。。
a0159795_16513945.jpg


メトロポリタンミュージアム
「みんなのうた」で大好きだった
大貫妙子さんが唄った「メトロポリタンミュージアム」は、
「クローディアの秘密」をもとに作られたのだそうです。
by choco-co-co | 2010-03-30 23:10 | 読書日記

僕は秋子に借りがある

ブログでも何度か書いているのですが、
長編小説を読むのが苦手です。
読みながら、ページ数を確認してしまうのです(笑)
それから、推理小説も苦手であります。
学生の頃、赤川次郎ではなくて
仁木悦子をよく読んでいたのですが、
それ以来、
推理小説からは、しばらく遠ざかっていました。
(仁木悦子は児童文学者でもありますよね。。)

ところが、主人が森博嗣に凝って
私も読むようになりました。
「長編」で「推理小説」という条件が整っていたのですが、
何故だか読破出来ました!
犀川助教授と西之園萌絵が登場する
S&Mシリーズは、ほとんど読みました。。
主人公の二人に好感が持てたし
人間関係もさらりとしています。

今は四季シリーズを読んでいます。
これは、ちょっと奇想天外な話です。
S&Mシリーズの最初の作品
「すべてがFになる」に登場する
四季という名前の天才少女の物語。
あまりに現実離れしていて、面白いです。

そんな作者の自薦短編集
「僕は秋子に借りがある」を
移動中などに読んでいて、先日読み終わりました。
そもそもは、主人が
その中の一編である「心の法則」を
「ちょっと読んでみて」と手渡したのがきっかけでした。
意味が分からないから、私の意見を聞きたかったようなのですが、
私も「???」でした。
恐らく、数学の方程式などにあてはまる構造になっているのだと
思うのですが、本当のところどうなのでしょう。。。
主人は何故だかこの物語のおかげで
この短編集を読み進める気が萎えてしまったようなので、
私が代わりに読み始めました。。。

「虚空の黙祷者」
「小鳥の恩返し」
「赤いドレスのメアリィ」
「探偵の孤影」
「卒業文集」
「心の法則」
「砂の街」
「檻とプリズム」
「恋之坂ナイトグライド」
「素敵な模型屋さん」
「キシマ先生の静かな生活」
「河童」
「僕は秋子に借りがある」
全13編が収録されています。

全ての作品に触れると
長くなってしまうので、幾つかセレクトして・・・。
推理小説として面白いのは
「虚空の黙祷者」「小鳥の恩返し」
とくに、「小鳥の恩返し」は惹き込まれました。

「卒業文集」は、上手いな・・と思います。
こんな風に、人物や状況を表現する方法があるんだ、と
興味深い作品でした。

「素敵な模型屋さん」は、純粋なファンタジー。
森博嗣は模型が大好きなようで
現在では、小説家としては、筆を折った状態なのですが、
模型については、とうとうと書いているので、
その熱い気持ちが伝わってきました。

「キシマ先生の静かな生活」は
最後の方にさらり、と書かれた一行で
「えっ?」と思わせます。
そして、何事もないかのように
物語は終わります。。。

表題にもなった
「僕は秋子に借りがある」は
僕と、秋子という突拍子もない、でも素敵な女の子との
一瞬の触れ合いを描いています。
二人の出会いには、
二人の共通する思い出が関わっていて、
それに気が付けなくて
彼女を少し鬱陶しくさえ思ってしまった自分を
とても後悔する話。
キャラバン・シューズを履いて
三十キロの道のりを
一晩中歩いて僕に会いに来た秋子は、
とても美しい存在だ、と作者が書いているのが
印象的です。
秋子の存在をとても切なく描いています。。。
「僕は秋子に謝りたい」とか「ごめんね。秋子」という
題名ではなくて
「借りがある」という言葉は、飄然としているようでいて、
でも、
秋子の気持ちに報いる事が出来なかった
僕の遣る瀬無さが伝わってきます。。
a0159795_113880.jpg

by choco-co-co | 2010-03-26 19:52 | 読書日記

まほうつかいのくしゃんねこ

高校三年生の頃、
クラスの皆は、顔色を変えて勉強していたのですが、
私は何だか空虚な日々を過ごしていて
参考書の代わりに、童話やファンタジーを読んで
過ごしていました。。。

ある朝、新聞の広告欄に
文庫本の新刊の案内が出ていました。
吉行理恵 著 / 「小さな貴婦人」
(どんな内容だったか忘れてしまったのですが)
どうやら芥川賞をとった作品で
猫と私の物語だ、ということが分かったのですが、
何故だかとても気になって、
学校の帰りに本屋さんに立ち寄ったかと思います。。

読み始めると、引き込まれました。
Gという老嬢が出てきて、
何だか森茉莉のように感じたし
「にゃあに?」とか「ひゃあ」とか
猫が話すところも不思議な感じでした。
もう何度も読み返しているのですが、
あらすじを紹介することができません。。。
何か訴えているわけでもなく
凄く奇抜なわけでもなく、
これ、といった内容がないのに
それでいて、
手のひらにすっぽり収まるような世界が
出来あがっています。
私には魅力的でありました。。。

その時からずっと
私は、吉行理恵さんの熱烈なファンで、
著書はほとんど持っています。
寡作で絶版のものも多かったので
時間をかけて、少しずつ集めました。。
いつか、お手紙を出そう・・・と
猫柄の便箋を見つけると、購入していたのですが、
4年ほど前にお亡くなりになってしまいました。
10年に1冊くらいの割合で本を出されていて
それを楽しみにしていたのですが、
もう手に入らない・・・と思うと
とても哀しい気持になります。。。

吉行理恵さんは、
吉行淳之介、和子兄弟姉妹の末っ子で
お母様は「あぐり」で有名な
美容師の吉行あぐりさん。
兄上、姉上が有名だったので
コンプレックスを持たれていたようなのですが、
写真を見ると、清楚な美しい方で、
才能もおありかと思います。
もともと、詩を書いていらしたのですが、
愛猫が死んでから、詩が書けなくなってしまって
小説を書き始めたようです。
だから、小説も散文詩のような雰囲気があります。

「まほうつかいのくしゃんねこ」は
吉行理恵さんが、一生に一冊だけ、と書いた童話です。
白い雲が猫に姿を変えて、えみちゃんという女の子の所にやってきて
いつのまにかいなくなってしまう・・・という
これもまた、散文詩のような内容。
この本だけが、なかなか手に入らなくて
先日行った「子ども図書館」で閲覧したのです。
その後、ようやく手に入って
今は私の手元にあります。。。

風の子供たちがえみちゃんに話しかけます。。

・・・・・・・・・・・
「えみちゃんに、おねがいがあるのです。
わたしたちのなかまの、いちばん小さな風の子どもが、
ようふくだんすのなかにとじこめられているのです」
「そうだったの。」
 えみちゃんは、ようふくだんすのとびらをあけて、
いちばんちいさな風の子どもを、そっと、手のひらにのせます。
・・・・・・・・・・・・

ようふくだんすの中に迷いこんでしまった風の子ども。
私は、天気の良い日に窓を開けて、
洋服ダンスの扉を開け放し、
中の湿気をとることがあるのですが、
この一節をよく思い出します。

「記憶の中に」という
小さい頃の思い出を織り交ぜて書いた小説には、
楽しいエピソードが沢山のっています。
そのエピソードは、他の作品の中でも度々登場することになります。
戦争中で大変だったようなのですが、
豊かな子ども時代を過ごされていたようです。
この本には南桂子の版画の挿絵がついているのですが
それも併せて、好きな一冊です。

「先に行ってて・・」と言い残して
歩道橋から落ちていった女の子。
教室の窓から床に射す光が
三角定規のように見えて
眠たい午後の授業中、何度も拾おうと
手を伸ばす女の子。。。
卵が好きな、意地悪な姉妹。
少女のような老嬢。
そして
「雲」「薬子」「蜻蛉」「バル」という猫たち。。。
登場人物(猫)たちも個性的です。

最後の小説「靖国通り」は
長年住んでいた市ヶ谷付近の歴史を織り交ぜながら
兄吉行淳之介や幼い頃の想い出を描いていて、
一番読みやすいかもしれません。
a0159795_2317712.jpg

詩もとても好きです。
by choco-co-co | 2010-03-10 10:21 | 読書日記

ライ麦畑の番人

先日、アメリカの作家サリンジャーが亡くなった・・と
ニュースで知りました。
91歳だったそうです。

60年代から、隠遁生活を送っていて、ほとんど表舞台に
出てこなかったから、
何となく、もう少し若いかと思っていたので
91歳という年齢には驚きました。。。

若い頃、御多分に洩れず、野崎 孝訳「ライ麦畑でつかまえて」を
白水社が出版していた、新書サイズで読みました。
それから、「ナイン・ストーリーズ」「フラニーとゾーイー」
を読んだかと思います。

今手元に残っているのは「ナイン・ストーリーズ」のみです。
先日、実家から持ってきました。。
もう一度、読んでみようと思っています。
a0159795_1129916.jpg


続き・・・
by choco-co-co | 2010-02-02 11:34 | 読書日記

ブログパーツ

最新の記事

セントル ザ ベーカリーの食パン
at 2015-04-20 21:22
ミッフィー展
at 2015-04-19 17:52
maison landema..
at 2015-04-18 11:42
ニコライ・バーグマン ノム
at 2015-04-18 11:16
硝子のアウトレットセール
at 2015-03-27 13:44

最新のトラックバック

ライフログ

メモ帳

川崎
旅行口コミ情報
トリップアドバイザーにお勧めブログとして認定されました

検索

フォロー中のブログ

ファン

ブログジャンル

日々の出来事
アート・デザイン

画像一覧